囲い込みが進み、顧客が他社を検討する必要のない状態が整うと、次に取り組むべきは「顧客の深掘り」である。
多くの会社は、新規顧客の獲得ばかりに目を向けるが、実は最も大きなチャンスは既存顧客の中に眠っている。
深掘りができる会社は、売上も利益率も安定して伸び続ける。
深掘りとは、既存顧客の中にある「まだ取れていない仕事」を見つけること。
そのためには、三つの視点が必要になる。
1. 顧客の業務全体を理解する(俯瞰視点)
多くの会社は、顧客から依頼された仕事だけを見ている。
しかし、顧客の業務全体を俯瞰すると、依頼されていない仕事が必ず存在する。
例えば、
試作だけ依頼されているが、量産前の検査工程が外部委託されている
溶接だけ依頼されているが、前工程の切断は別会社が担当している
配送だけ依頼されているが、流通加工は別の業者が行っている
顧客の業務全体を理解することで、「まだ取れていない仕事」が見えてくる。
深掘りの第一歩は、顧客の全体像を把握すること。
2. 顧客の“困りごと”を聞き出す(課題視点)
顧客は、依頼している仕事以外にも必ず困りごとを抱えている。
その困りごとを聞き出すことで、新しい仕事が生まれる。
例えば、
「最近、品質が安定しなくて困っている」
「納期が読めなくて社内が混乱している」
「設計段階でミスが多くて手戻りが増えている」
「外注先が増えすぎて管理が大変」
こうした困りごとは、深掘りの宝である。
顧客の課題を解決できれば、単価の高い仕事が自然と増える。
3. 顧客の未来を一緒に描く(成長視点)
深掘りの最も強力な方法は、顧客の未来に寄り添うこと。
顧客が成長するタイミングは、新しい仕事が生まれる絶好の機会である。
例えば、
新製品開発
新規事業の立ち上げ
生産量の増加
設備更新
拠点拡大
こうしたタイミングで、
「もしよければ、試作段階から一緒に入らせてください」
「品質保証の体制を強化しましょう」
「量産前の検査工程もこちらでまとめて対応できます」
と提案すると、深掘りが一気に進む。
顧客の未来に寄り添う会社は、顧客から見て“替えがきかない存在”になる。
■深掘りが進むと何が起きるか
深掘りが成功すると、会社は次の状態に入る。
既存顧客からの売上が増える
単価が上がる
利益率が高くなる
営業コストが下がる
新規顧客を追いかけなくても成長できる
経営が圧倒的に安定する
特に、既存顧客からの売上が増えると、会社の体力は一気に強くなる。
■深掘りは「営業力」ではなく「理解力」
深掘りは、営業力の強さではなく、
顧客をどれだけ深く理解できるか
で決まる。
顧客の業務、課題、未来を理解する会社は、自然と深掘りが進む。
深掘りが進むほど、顧客は離れず、単価は上がり、利益率は高くなる。
次回は、深掘りをさらに加速させる「顧客の業務を可視化する方法」について解説する。
顧客の業務を見える化すると、まだ取れていない仕事が一気に浮き上がる。
