顧客専用の仕組みが整い、深掘りが進み、代行まで行えるようになると、会社は顧客との関係性を非常に強く維持できるようになる。
しかし、この段階で必ず取り組むべきことがある。
それが 顧客別の利益管理 である。
多くの町工場は「全体の売上」「全体の利益」しか見ていない。
しかし、実際には 顧客ごとに利益率は大きく違う。
この違いを把握できていない会社は、利益が出ていると思っていても、特定の顧客に体力を奪われていることがある。
顧客専用の仕組みをつくった会社こそ、顧客別の利益管理を行うべきである。
1. 顧客別の利益管理は「どの顧客が会社を支えているか」を明確にする
顧客別の利益管理を行うと、次のことが分かる。
利益率が高い顧客
利益率は低いが成長性が高い顧客
売上は大きいが利益を圧迫している顧客
手間ばかりかかって利益が出ていない顧客
この情報は、経営判断の“地図”になる。
例えば、
売上は大きいが手戻りが多く、利益率が低い顧客がいたとする。
その顧客に専用の仕組みを追加すれば、利益率が改善する可能性がある。
逆に、改善しても利益が出ない顧客なら、取引量を調整する判断ができる。
顧客別の利益管理は、経営の精度を劇的に高める。
2. 利益管理のポイントは「手間」を数値化すること
利益管理で最も重要なのは、
売上ではなく“手間”を見ること
である。
手間とは、
図面チェックの時間
段取りの時間
調整の回数
手戻りの頻度
外注管理の負担
納期調整の手間
など、顧客ごとに大きく異なる。
売上が同じでも、手間が違えば利益率は全く違う。
手間を数値化すると、
「この顧客は利益率が高い」
「この顧客は改善すれば利益が伸びる」
「この顧客は取引量を調整すべき」
という判断ができる。
3. 顧客別の利益管理は“専用化の優先順位”を決めるために使う
顧客専用の仕組みは、全顧客に一気に導入する必要はない。
むしろ、優先順位をつけるべきである。
利益管理を行うと、
専用化すれば利益が伸びる顧客
専用化しても効果が薄い顧客
専用化すべきではない顧客
が明確になる。
専用化は手間がかかるため、
利益が伸びる顧客から優先して専用化する
ことが重要になる。
これにより、投資の効果が最大化される。
4. 利益管理を行うと、顧客との関係性がさらに強くなる
利益管理は、顧客を切るためのものではない。
むしろ、
顧客にとって価値が高い部分を強化するためのもの
である。
利益率が低い顧客には、
専用化
改善提案
代行
を行うことで、利益率を改善できる。
利益管理は、顧客との関係性を深めるための“改善の材料”になる。
5. 顧客別の利益管理は、町工場の経営を安定させる最強の武器
利益管理ができる会社は、次の状態に入る。
どの顧客に投資すべきか分かる
どの顧客を深掘りすべきか分かる
どの顧客を専用化すべきか分かる
どの顧客が会社を支えているか分かる
経営判断が迷わなくなる
利益率が安定して高くなる
顧客別の利益管理は、町工場が“本当の意味で強くなる”ための必須の仕組みである。
次回は、顧客別の利益管理をさらに進めるための「顧客ランクの作り方」について解説する。
顧客をランク分けすると、投資の優先順位が明確になり、経営がさらに安定する。
