工場や倉庫の相続では、遺言書の有無がその後の流れを大きく左右します。
遺言書があるかどうかで、
誰が相続するのか
工場を売るのか、貸すのか
設備や機械の扱い
などがすべて変わります。
しかし、遺言書は「見つけた瞬間の扱い方」を間違えると、法的に無効になったり、家庭裁判所で余計な手続きが必要になったりします。
今回は、遺言書の種類と、見つけた時に絶対にやってはいけないことを整理します。
■遺言書は大きく3種類ある
遺言書には、法律で定められた3つの種類があります。
① 自筆証書遺言(自分で書いた遺言)
もっとも多いタイプです。
特徴は次のとおりです。
全文を本人が手書き
日付と署名が必要
自宅の金庫や机の引き出しから見つかることが多い
法務局で保管されている場合もある(自筆証書遺言保管制度)
工場経営者の場合、机の中や金庫から見つかるケースが多いです。
② 公正証書遺言(公証役場で作成)
川口市の場合、
川口公証役場(本町4丁目)
で作成されていることが多いです。
特徴は次のとおりです。
公証人が作成するため、もっとも安全
法的に無効になりにくい
原本は公証役場で保管される
相続人が探しやすい
工場・倉庫のように資産が大きい場合は、公正証書遺言が使われることが多いです。
③ 秘密証書遺言(ほとんど使われない)
封印された遺言書を公証役場に持ち込み、存在だけを証明してもらう方式です。
実務ではほぼ見かけません。
■遺言書を見つけた時に「絶対にやってはいけないこと」
遺言書を見つけた時、やってはいけないことが3つあります。
① 勝手に開封すること
自筆証書遺言を勝手に開封すると、
家庭裁判所で「検認」という手続きが必要になります。
開封しただけで罰則はありませんが、
「勝手に内容を変えたのではないか」
と疑われる原因になります。
封がされている場合は、絶対に開けないことが重要です。
② 内容をコピーして他の相続人に送ること
コピーを取ること自体は違法ではありませんが、
「勝手に開封した」
と誤解されることがあります。
まずは専門家に相談するのが安全です。
③ 遺言書の内容に従って勝手に動くこと
遺言書があっても、すぐに工場を売ったり、設備を処分したりしてはいけません。
理由は次のとおりです。
遺言書が無効の可能性がある
相続人全員の確認が必要
相続税の計算がまだ終わっていない
名義変更(相続登記)がまだできない
遺言書は「方向性を示すもの」であり、すぐに行動して良いわけではありません。
■遺言書を見つけたら、まずやるべきこと
遺言書を見つけたら、次の順番で進めると安全です。
① 封を開けずに保管する
封印されている場合は絶対に開けない。
② 家庭裁判所で「検認」の手続きをする
自筆証書遺言の場合は必須です。
川口市の場合は、
さいたま家庭裁判所 川越支部
が管轄になることが多いです。
③ 相続人全員に遺言書の存在を知らせる
トラブル防止のため、早めに共有します。
④ 工場・倉庫の現状を確認する
遺言書の内容が実現可能かどうかを判断するためです。
■第3回のまとめ
遺言書は、工場・倉庫の相続において最も重要な書類です。
しかし、見つけた瞬間の扱い方を間違えると、後々の手続きが複雑になり、相続人同士のトラブルにもつながります。
ポイントは次の3つです。
遺言書は勝手に開封しない
内容に従って勝手に動かない
必ず「検認」などの法的手続きを踏む
次回は、
「相続人の確定方法(戸籍の集め方・川口市での実務)」
を詳しく解説します。
