顧客を選別し、自社の強みを最大限に活かせる顧客に集中できるようになると、次に取り組むべきは「価格の再設計」である。
ブランドが機能し始めた会社は、価格を見直すことで利益率をさらに引き上げられる。
ここを避け続ける会社は、せっかくブランドを築いても利益が伸びず、成長が止まってしまう。
価格の再設計は、単なる値上げではない。
自社の価値に見合った価格へと調整することであり、むしろ「適正価格への修正」と言ったほうが近い。
ブランドが確立している会社は、価格を上げても顧客が離れにくい。
理由は三つある。
一つ目は、価値が明確になっていること。
選ばれる理由が言語化され、顧客がその価値を理解している状態では、価格は付随的な要素になる。
短納期、品質保証、専門性、対応力など、顧客が求める価値が明確であれば、価格は「その価値を得るための対価」として受け入れられる。
二つ目は、顧客の不安が少ないこと。
仕組み化されたブランドは、対応が安定している。
誰が担当しても同じ品質で対応できるため、顧客は安心して依頼できる。
不安が少ない会社は、多少高くても選ばれる。
価格が安い会社より、安心できる会社を選ぶ顧客は確実に存在する。
三つ目は、競合との比較が変わること。
ブランドが確立している会社は、競合と比較されたときに明確な優位性を示せる。
競合が納期に弱いなら短納期で勝負し、品質が不安定なら品質保証で差別化する。
比較されたときに「この会社のほうが良い」と判断されるポイントが明確であるため、価格差が小さな要素になる。
価格の再設計を行う際には、次の三つを意識する必要がある。
一つ目は、段階的に行うこと。
いきなり大幅な値上げをすると、顧客が驚き、反発が起きる。
まずは小さく上げ、反応を見ながら調整する。
二つ目は、理由を明確に伝えること。
値上げの理由が曖昧だと、顧客は不信感を抱く。
品質向上、対応改善、設備投資、短納期体制の強化など、顧客にとってのメリットを中心に伝える。
三つ目は、強みと価格を連動させること。
強みが明確であれば、その強みに対して価格を設定できる。
例えば、短納期なら「特急料金」、品質保証なら「検査費用」、専門性なら「技術料」。
価値に対して価格を設定することで、顧客は納得しやすくなる。
価格の再設計は、ブランドが機能し始めた会社にとって必ず通るべき道である。
適正価格に近づくほど、利益率は上がり、会社の体力は強くなる。
価格を見直すことは、会社の未来を守るための重要な経営判断である。
次回は、価格を再設計した後に必要となる「顧客への伝え方」について解説する。
値上げは伝え方で結果が大きく変わる。
顧客の信頼を損なわずに価格を見直す方法を示したい。
