定期ミーティングを設計し、毎月顧客から情報を得られる状態が整ったら、次に取り組むべきは 「顧客カルテの作成」 である。
顧客カルテは、顧客の情報・課題・未来・工程・外注・利益・対応履歴を一枚にまとめた“顧客の診断書”のようなもの。
これがある会社は、顧客の全体像を正確に把握できるため、深掘り・専用化・代行の精度が圧倒的に高くなる。
1. 顧客カルテは「顧客の全体像」を一枚にまとめる
顧客カルテに記載するべき項目は次の通り。
■基本情報
会社名
担当者
連絡手段
取引開始日
契約内容
■依頼内容
依頼されている工程
依頼されていない工程(深掘り余地)
外注マップ
過去の案件の傾向
■課題
品質の課題
納期の課題
手戻りの原因
外注管理の負担
社内のボトルネック
■未来計画
新製品開発
生産量増加
設備更新
新規事業
拠点拡大
■利益・手間
利益率
手間(段取り・調整・図面チェックなど)
顧客ランク(A・B・C)
■対応履歴
改善提案
ミーティング内容
トラブル履歴
専用化の進捗
これらを一枚にまとめることで、
「この顧客はどこを深掘りすべきか」
が一目で分かる。
2. 顧客カルテは「深掘りの材料」を蓄積する装置になる
カルテを作ると、毎月のミーティングで得た情報が蓄積されていく。
例:
図面ミスが多い → 前工程の代行が有効
外注先が多い → 外注管理の一括代行が有効
新製品開発が増えている → 試作段階から入り込む
生産量が増えている → 専用段取りを導入する
カルテがあると、深掘りが“偶然”ではなく“必然”になる。
3. 顧客カルテは「専用化の判断」を正確にする
専用化は投資が必要なため、
どの顧客に専用化すべきか
を正確に判断する必要がある。
カルテがあると、
専用化の効果(利益・品質・納期)が高い顧客
専用化しても効果が薄い顧客
専用化すべきではない顧客
が明確になる。
専用化は“感覚”ではなく“データ”で判断するべきである。
4. 顧客カルテは「代行の範囲」を決めるための基準になる
代行は深掘りの最終段階であり、単価を最大化する最強の方法。
しかし、代行の範囲を誤ると手間ばかり増えて利益が出ない。
カルテがあると、
前工程の代行が有効な顧客
後工程の代行が有効な顧客
外注管理の代行が有効な顧客
が明確になる。
代行は“勢い”ではなく“設計”で行うべきである。
5. 顧客カルテは「社員全員の共通言語」になる
カルテを共有すると、会社全体の動きが統一される。
Aランク顧客への対応が丁寧になる
改善提案が増える
専用化の意図が共有される
無理な顧客に振り回されなくなる
全員が同じ優先順位で動ける
カルテは、会社全体の“意思統一ツール”になる。
6. 顧客カルテがある会社は、経営が圧倒的に安定する
顧客カルテを導入すると、会社は次の状態に入る。
深掘りの精度が高い
専用化が効率的に進む
代行の範囲が最適化される
利益率が安定して高い
顧客が離れない
経営判断が迷わない
顧客カルテは、町工場の経営を“顧客単位で設計できる状態”にする最強の仕組みである。
次回予告
次回は、顧客カルテをさらに活用するための
「顧客別の年間計画の作り方」
について解説する。
年間計画がある会社は、深掘り・専用化・代行を“長期で積み上げる”ことができる。
