既存顧客の深掘りを進めるためには、顧客の業務全体を理解することが欠かせない。
しかし、顧客の業務は複雑で、口頭のヒアリングだけでは全体像をつかむことが難しい。
そこで必要になるのが「業務の可視化」である。
顧客の業務を見える化すると、まだ取れていない仕事が驚くほど浮き上がる。
今回は、深掘りを加速させるための“業務可視化の方法”を整理する。
1. 顧客の業務フローを図式化する(工程の見える化)
最も基本的で効果が高いのが、顧客の業務フローを図式化する方法である。
依頼されている工程だけでなく、前後の工程も含めて流れを把握する。
例:金属加工の顧客
設計
材料手配
切断
曲げ
溶接
研磨
検査
納品
自社が担当しているのが「曲げ」だけなら、前後の工程に深掘りのチャンスがある。
例えば、
切断を別会社に依頼している
溶接は社内でやっているが品質が不安定
検査は外部委託している
こうした情報は、業務フローを図式化すると一目で分かる。
業務フローの可視化は、深掘りの“地図”になる。
2. 顧客の社内で起きている“手戻り”を把握する(ムダの見える化)
顧客の業務には必ず「ムダ」が存在する。
このムダを見つけることが、深掘りの大きなチャンスになる。
例えば、
設計ミスによる再加工
材料手配の遅れによる納期遅延
外注先の品質不良によるやり直し
工程間の連携不足による待ち時間
こうした手戻りは、顧客にとって大きなストレスであり、コスト増の原因でもある。
その手戻りを解消できる提案を行えば、顧客は「この会社は自分たちの業務を理解している」と感じ、深掘りが一気に進む。
3. 顧客の“外注マップ”を作る(外部依存の見える化)
顧客がどの工程を外注しているかを整理すると、深掘りの余地が明確になる。
例:顧客の外注マップ
切断 → A社
曲げ → 自社
溶接 → B社
研磨 → C社
検査 → D社
このように整理すると、
「溶接と研磨をまとめて自社で対応できます」
「検査工程もこちらで一括管理できます」
といった提案ができる。
顧客は外注先が多いほど管理が大変になるため、まとめて任せられる会社を求めている。
外注マップは深掘りの宝庫である。
4. 顧客の未来計画を聞き出す(成長の見える化)
顧客の未来を可視化すると、深掘りの“予備軍”が見えてくる。
例えば、
新製品の開発予定
新規事業の立ち上げ
生産量の増加
設備更新
拠点拡大
こうした未来計画は、深掘りの大きなチャンスである。
未来の工程を可視化することで、
「試作段階から入らせてください」
「量産前の検査工程もまとめて対応できます」
といった提案ができる。
■業務を可視化すると、深掘りのチャンスが“勝手に”見えてくる
業務の可視化が進むと、次のような状態になる。
依頼されていない工程が見える
顧客の困りごとが見える
顧客のムダが見える
顧客の未来が見える
つまり、深掘りのチャンスが自然と浮き上がる。
深掘りは「探すもの」ではなく、「見える化すれば勝手に見えてくるもの」である。
■深掘りが進むほど、会社は強くなる
深掘りが進むと、
既存顧客からの売上が増える
単価が上がる
利益率が高くなる
営業コストが下がる
経営が安定する
新規顧客を追いかけなくても成長できる状態になる。
次回は、業務を可視化した後に取り組むべき「顧客の業務を一部“代行する”戦略」について解説する。
代行は深掘りの最終段階であり、顧客単価を最大化する強力な方法になる。
