町工場の経営者と話していると、市場を絞ることに強い抵抗を示す人が多い。
「うちは何でもできる」
「専門特化したら売上が減るのではないか」
「断ったら顧客が離れるのではないか」
こうした不安から、結果として広く浅く仕事を受け続け、価格競争に巻き込まれてしまう。
しかし、専門特化こそが利益率を高める最短ルートである。
理由は三つある。
一つ目は、強みが際立つことだ。
広く仕事を受けている会社は、顧客から見れば「何でもできるが、特別強いものはない会社」に映る。
逆に、専門特化した会社は「この分野ならこの会社」と認知される。
認知が変わると、価格ではなく価値で選ばれるようになる。
二つ目は、効率が上がることだ。
専門特化すると、設備の使い方、段取り、加工の流れが標準化される。
結果として、同じ時間でより多くの仕事をこなせるようになる。
広く仕事を受けている会社は、案件ごとに段取りが変わり、効率が上がらない。
三つ目は、遠方から顧客が集まることだ。
専門店は、商圏が広がる。
タイ料理を食べたい人は、近くのファミリーレストランではなく、多少遠くても専門店に行く。
ゴルフクラブを買う人は、ホームセンターではなく専門店に行く。
町工場でも同じである。
専門特化した会社は、商圏が広がり、遠方から問い合わせが来るようになる。
専門特化は、売上を減らすどころか、むしろ増やす。
そして、利益率はさらに高くなる。
市場を絞ることを恐れる必要はない。
むしろ、絞らなければ強みは際立たず、価格競争から抜け出せない。
次回は、専門特化を成功させるために欠かせない「知識とサービス力の強化」について解説する。
商品だけ揃えてもブランドは作れない。
顧客の期待に応えるために必要な準備を示したい。
