意思決定プロセスを理解できるようになると、次に必要になるのが 顧客の社内政治を味方につけること である。
社内政治というとネガティブに聞こえるが、実際にはどの会社にも存在する“力の流れ”のこと。
この流れを理解し、味方につけることができれば、提案は驚くほどスムーズに通る。
深掘り・専用化・代行が進む会社は、例外なく 社内政治の扱いがうまい。
1. 社内政治とは「誰が影響力を持っているか」という力学
社内政治は、役職ではなく 影響力の流れ で決まる。
例:
課長より主任の方が現場を動かせる
ベテラン社員が品質基準を実質的に決めている
経理担当が予算の実権を握っている
若手が新製品開発の中心で影響力が強い
専務が社長より現場に信頼されている
この“影響力の流れ”を理解していないと、提案が止まる。
2. 社内政治は「3つの派閥」で整理すると分かりやすい
どの会社にも、次の3つの派閥が存在する。
■① 現場派
図面チェック
段取り
検査
手戻り
→ 深掘りのキーパーソン
■② 管理派
生産計画
品質基準
外注管理
→ 専用化のキーパーソン
■③ 経営派
投資判断
外注再編
新規事業
→ 代行・5年計画のキーパーソン
この3派の関係性を理解すると、
「誰を味方にすべきか」が明確になる。
3. 社内政治を味方につけるための“6つの観察ポイント”
ミーティングや現場訪問で次の6つを観察すると、社内政治が見えてくる。
■① 誰の発言で場の空気が変わるか
→ 影響力者が分かる
■② 誰が一番忙しそうか
→ ボトルネック(代行のチャンス)
■③ 誰が品質に厳しいか
→ 専用化のキーパーソン
■④ 誰が新製品に詳しいか
→ 深掘りのキーパーソン
■⑤ 誰が経営層と仲が良いか
→ 決裁ルートのショートカット
■⑥ 誰が現場から信頼されているか
→ 現場の実質リーダー
この6つを観察するだけで、社内政治の構造がほぼ分かる。
4. 社内政治を味方につけると「提案の通し方」が変わる
社内政治を理解すると、提案の順番が最適化される。
例:
現場が困っている → 現場向け改善提案
管理層が悩んでいる → 専用化の提案
経営層が未来を見ている → 5年計画の提案
事務層が負担 → 代行の提案
つまり、
提案を“抵抗の少ないルート”で通せるようになる。
5. 社内政治を味方につけると「反対勢力」を無力化できる
どの会社にも、提案に反対する人がいる。
例:
新しい仕組みに抵抗するベテラン
外注統合に反対する担当者
専用化の投資を渋る管理層
代行に不安を感じる現場
しかし、社内政治を理解していれば、
影響力者を味方につけることで反対勢力を無力化できる。
6. 社内政治を味方につけると「専用化の導入」が早くなる
専用化は、
現場
管理層
経営層
の3つが揃わないと進まない。
社内政治を理解している会社は、
3つの層の影響力者を同時に味方につけられるため、導入が早い。
7. 社内政治を味方につけると「代行の範囲」が広がる
代行は、
現場の負担
管理層の判断
経営層の投資
事務層の契約
が関わる。
社内政治を理解している会社は、
代行の提案を最短ルートで通せるため、代行が広がる。
8. 社内政治を味方につける会社は、顧客から“内部の人間”として扱われる
ここまで来ると、顧客は次のように扱うようになる。
「この会社に相談すれば早い」
「社内の事情を理解してくれている」
「外注ではなく仲間だ」
「他社に変える理由がない」
町工場が目指すべき最終形は、
顧客の社内政治を味方につけること。
次回予告
次回は、社内政治の理解をさらに強化する
「顧客のキーパーソンを育てる方法」
について解説する。
キーパーソンを育てると、深掘り・専用化・代行が“顧客側から勝手に進む”状態になる。
