顧客の組織構造を理解できるようになると、次に必要になるのが 意思決定プロセスの把握 である。
組織構造が「誰がどの立場か」を示す地図だとすれば、意思決定プロセスは
「どうすれば提案が通るか」というルートそのもの。
このルートを理解できていない会社は、
提案が止まる
決裁が遅れる
現場と経営の温度差に振り回される
深掘りが進まない
という状態に陥る。
逆に、意思決定プロセスを正しく把握できる会社は、
提案が最短で通るため、深掘り・専用化・代行が高速で進む。
1. 意思決定プロセスは「表のルート」と「裏のルート」がある
企業の意思決定には、必ず2つのルートが存在する。
■① 表のルート(公式ルート)
現場 → 管理層 → 経営層
稟議書 → 部長承認 → 社長決裁
発注 → 経理 → 支払
これは“建前のルート”。
■② 裏のルート(実質ルート)
ベテラン社員の一声で決まる
専務の判断が最終
経理担当が実質的な決裁権
若手が新製品の中心で影響力が強い
こちらが“本当のルート”。
深掘りが進む会社は、
裏のルートを正確に把握している。
2. 意思決定プロセスは「3つのフェーズ」で動く
意思決定は次の3フェーズで進む。
■① 情報収集フェーズ
現場が困っている
→ 改善提案が刺さる
■② 調整フェーズ
管理層が判断する
→ 専用化の提案が刺さる
■③ 決裁フェーズ
経営層が投資を決める
→ 代行・専用化の大型提案が刺さる
どのフェーズにいるかを見極めることで、
提案のタイミングが最適化される。
3. 意思決定プロセスを把握するための“7つの質問”
ミーティングで次の7つを聞くと、意思決定プロセスがほぼ把握できる。
■① 新製品の最終決定は誰ですか
→ 経営層 or 管理層の判断が分かる
■② 外注を変えるとき、誰が最終判断しますか
→ 外注統合の決裁者が分かる
■③ 設備更新の相談は誰が担当ですか
→ 投資判断のキーパーソンが分かる
■④ 品質基準は誰が決めていますか
→ 専用化の影響力者が分かる
■⑤ 発注の最終チェックは誰ですか
→ 契約・予算の決裁者が分かる
■⑥ 現場で一番影響力がある人は誰ですか
→ 深掘りのキーパーソンが分かる
■⑦ 社内で一番忙しい人は誰ですか
→ ボトルネックが分かる(代行のチャンス)
この7つを聞くだけで、意思決定プロセスがほぼ見える。
4. 意思決定プロセスを理解すると「提案の順番」が変わる
提案は順番が命。
例:
現場が困っている → 現場向け改善提案
管理層が悩んでいる → 専用化の提案
経営層が未来を見ている → 5年計画の提案
事務層が負担 → 代行の提案
意思決定プロセスを理解している会社は、
提案を“正しい順番”で通せる。
5. 意思決定プロセスを理解すると「専用化の導入」が早くなる
専用化は、
現場が使いやすい
管理層が納得する
経営層が投資を決める
という3つの条件が揃わないと進まない。
意思決定プロセスを理解している会社は、
3つの層に最短ルートでアプローチできるため、専用化が早い。
6. 意思決定プロセスを理解すると「代行の範囲」が広がる
代行は、
現場の負担
管理層の判断
経営層の投資
事務層の契約
がすべて関わる。
意思決定プロセスを理解している会社は、
代行の提案を最短ルートで通せるため、代行が広がる。
7. 意思決定プロセスを理解できる会社は、顧客から“内部の人間”として扱われる
ここまで来ると、顧客は次のように扱うようになる。
「この会社に相談すれば早い」
「社内の事情を理解してくれている」
「外注ではなく仲間だ」
「他社に変える理由がない」
町工場が目指すべき最終形は、
顧客の意思決定プロセスに組み込まれること。
次回予告
次回は、意思決定プロセスの理解をさらに強化する
「顧客の社内政治を味方につける方法」
について解説する。
社内政治を味方につけると、提案が“抵抗なく通る”ようになり、深掘り・専用化・代行がさらに加速する。
