工場や倉庫を貸し出す際、契約後に「設備が足りない」「想定していた使い方ができない」と借り手から指摘されるケースは少なくありません。埼玉県川口市周辺は古い工場が多く、設備の現況が建築当時のまま残っていることも多いため、所有者側の事前確認が不十分だと、契約後にトラブルへ発展しやすい地域です。
設備不足が判明する典型的なケースはいくつかあります。
まず、電力容量の不足です。古い工場では、当時の機械に合わせた容量のまま使われていることが多く、現在の機械を動かすには足りないことがあります。借り手が「操業開始後に増設したい」と申し出る場合、費用負担や工事内容を巡って話がこじれることがあります。契約前に電力の引込状況と容量を把握しておくことが重要です。
次に、排水設備の不足です。製造業の内容によっては、排水の種類や量が大きく異なります。古い工場では、雑排水と汚水の区別が曖昧なまま使われているケースもあり、借り手が排水を使おうとすると「そもそも排水設備が対応していない」と判明することがあります。排水は追加工事の費用が大きくなりやすいため、事前の確認が欠かせません。
消防設備の不適合もよくあるケースです。古い工場では、当時の基準で設置された設備がそのまま残っていることが多く、現在の消防基準に合っていない場合があります。借り手が火気を使う業種の場合、契約後に「消防が通らない」と判明し、所有者側に改善を求められることがあります。
さらに、車両動線の問題もあります。借り手が想定している車両サイズが、物件の前面道路や敷地内の動線に合わないケースです。契約後に「トラックが入れない」「敷地内で転回できない」と判明すると、事業そのものが成立しなくなるため、借り手の不満が大きくなります。
設備不足が契約後に判明する背景には、所有者側が「昔から使えていたから今回も問題ないだろう」と考えてしまうことがあります。しかし、借り手の事業内容は物件ごとに異なり、設備負荷も大きく変わります。所有者が現況を正確に把握し、借り手の事業内容と照らし合わせて説明することで、契約後のトラブルを大きく減らすことができます。
次回は、騒音トラブルについて解説します。
