048-254-1811

営業時間 9:00~17:00
定休日 土曜日 日曜日

連載第8回 STP分析を町工場に当てはめる具体例

2026年09月15日

連載第8回 STP分析を町工場に当てはめる具体例

前回は、STP分析の基本を解説した。
今回は、それを町工場の現場に落とし込み、どのように具体的な戦略として使えるのかを示す。
抽象的な理論が、実際の経営判断にどう役立つかを理解してほしい。

まずS(Segmentation)。
ある金属加工会社を例にする。
この会社は、切断、曲げ、溶接、研磨など、幅広い加工を請け負っていた。
しかし、どの加工も競合が多く、価格競争に巻き込まれていた。
そこで、加工内容を細分化し、どの分野で強みがあるかを洗い出した。
結果として、他社よりも曲げ加工の精度が高く、短納期に対応できることが分かった。
市場を細分化したことで、自社の強みが浮き上がった。

次にT(Targeting)。
曲げ加工の中でも、特に小ロットの試作依頼が多いことに気づいた。
大量生産では大企業に勝てないが、試作や小ロットなら自社の設備と人材で十分対応できる。
そこで、試作特化の市場を狙うことにした。
資源が限られた町工場にとって、勝てる市場を選ぶことは極めて重要である。

最後にP(Positioning)。
試作市場には競合も存在する。
そこで、競合他社の特徴を調べたところ、納期が遅い会社が多いことが分かった。
自社は短納期に強みがあるため、納期特化の立ち位置を取ることにした。
具体的には、試作加工を三日以内に納品することを約束し、見積もりも即日対応する体制を整えた。
この立ち位置が明確になったことで、顧客は「試作ならこの会社」と認識するようになった。

このように、STP分析は抽象的な理論ではなく、現場で使える実践的な道具である。
市場を細分化し、勝てる場所を選び、強みが最も輝く立ち位置を取る。
この三つが揃えば、ブランドの核が生まれ、価格競争から抜け出すことができる。

次回は、ブランドをさらに強化するために必要な「専門特化」の考え方を解説する。
市場を絞ることを恐れる経営者は多いが、専門特化こそが利益率を高める最短ルートになる。
ページの先頭へ